ライフハック記事が検索を汚染する?
この前、ちょっとした用事があって「そういえば照れ隠しで頭を掻くのってどういう理由なんだろ」と思って調べてみた。「照れ隠し 頭を掻く」とね。
私が読みたかったのは公式なサイトとか心理学の専門家が書いた文章とか統計データとか実験のpdfだったのだが、まあ出てこない出てこない。結局6ページぐらいまで登っていって、諦めた。
代わりに出てきたのが
男性が照れ隠しのためにとる仕草〇選!
男が照れ隠しにとる行動〇選!
みたいなうっすいうっすいサイト。お前それ本当に考えてんのかよ。
中学生でも絞り出して書けるぞ。
検索してるとこんな現象は毎日のようにあるわけなんだけど、この前ついに出会っちゃったんだな。
「5セカ〇ズ」とかいうサイト。いや、リンクは貼らないよ。
順位上げに貢献するのが癪だったから。
もうね、このライフハック全部持ち逃げして、お前だけで豊かに暮らしてろや!と言いたくなるほどの。
これ何ですか、縛りですか?緊縛ですか?記事タイトルをこうやってしないと死ぬ病ですか?
そしてまあ記事も浅い浅い。
浅いってのが何を言うかは人それぞれだけど、統計もない、情報のソースもない、運営者情報もない、こんなの誰が読むんだ?と、思った。
まあ何だ。例えば。
「ポジティブになるための方法7選!」なんてタイトルの記事があったとするよ。あ、5セカ〇ズとは言ってないからね。
で、ネガティブな人がそれを読みに来るわけじゃん。期待しながら。
そしたらさ。一個目にだよ。一個目に。
「過去の失敗を振り返らないようにする」とか書いてあるわけ。
もうね。
ムカー!目ん玉潰したろか!!
というのは体験談です。
つまり期待を踏みにじられたわけで、汚染された海の水を飲み込みながら必死にたどり着いたのがそのサイトだったら、そりゃあ病みますわ。病んでないけど。
でもね。私はそれでいいと思うんだ。
ライフハックってのはもともと、生きていくうえで役に立つ情報~みたいな意味だったけど、今はもう別の用法で使われてる気がする。
今日はそれを語っていくね。
ライフハック=not実用
ライフハックが実用じゃないというのは、上のようなことからわかるね。
実用も何も、聴いて誰もがわかるようなことしか書いてないんだもの。
例えるなら本来のライフハックというのは「卵の殻は一度冷水に漬けてから剥きましょう!」だけど、今の生き方ライフハックに関しては違う。そんなのみんな知っとるわ!レベルの浅い浅い、誰もが知ってるようなことしか書いてないんだ。「卵の殻は一度茹でてから剥きましょう!」レベルの。それは実用的じゃない。
もちろん、「ネットには想像を絶するアホさんがいて、そいつらのために書いてるんだろ」なんてちょっと極端な意見も出ると思うよ。その意見も意見としては立派さ。
「過去を振り返らない生き方ができるようなら、そもそもネガティブにはなってない」とさえ考えられないような人も、たぶん世の中にはいるんだろう。
だがそもそも、ライフハックというのは役に立って然るべきものなのに、「役に立ちました!」「人生観変わりました!」なんてコメントを見たことがない。一度もだ。
そのアホさんとやらからのコメントも見ない。
これは運営者にとっては不本意なことなのだろうか?検索流入だから反響がないのか?
違うと思う。
それもそのはず。たぶん生き方ライフハック専門サイトは、そもそも読者の人生を変えることなんて期待していないのだ。
だって毎日投稿だよ?5セカ〇ズ。
本当に質の高い、読者にとって本当に役に立つような生き方を提供しようと思ったら、とても24時間では足りないはずだ。
ではなぜこれらのサイトがつぶれないのか?
どうしてたくさん読まれてるのか?
実用以外の読み方があるってことだ。
生き方ライフハックが実用のためのものじゃないってことは、読者も著者もとっくに気づいてて、その暗黙の上でサイトが成り立ってる、と。そう考えることができる。
その時、その要因になるのは『心の安定』だと思う。
精神安定剤としてのライフハック
何のためにこれらのサイトがあるのか?
答えはこうだろう。
一種の精神安定剤だ。
病んでるみたいな言い方やめろ
精神安定剤というのは語弊がある。答え合わせと言い換えてもいい。
現実という、曖昧模糊とした世界。
どれが正解で、どれが不正解かもはっきりしない世界。
そんな現実に一種の答え、模範解答を示してくれるのが、生き方ライフハックなのだ。
例えば意志薄弱な人がいたとするよ。自分でそれを治したいとも思ってるけど、そこまでの気力もない。彼はサイトを見に来るんだ。
『意志薄弱な人の長所7つ!!』というページをクリック。そして一人で満たされるんだ。で、こう思う。
「なるほどなるほど、俺の生き方は間違ってなかったんだな!」
自分の生き方はこれで合ってるんだ、他人に認められてるんだ、そう信じ込みたいがために読まれる。読まれればそれで終わり。
たぶん2日もすれば、そこに何が書いてあったかなんて覚えてない。
そんなことを暗に期待して読みに来るし、そのことを運営者たちも痛いほどわかり切っている。だから、あえて彼らの欲求を満たすような記事を書く。切れ目のない現実に模範解答を示して、迷える子羊たちを導く、そして転職サイトに誘導する。
こうしてネット上での『需要―供給曲線』が見事に一致する。
そしてもっと大事なのは、ライフハックの情報が正しいかどうかなんてどうでもいい、ということだ。ここでは論理とか信ぴょう性は優先されない。自分のことを認めてほしくて来た人が、明日をがんばる活力と、ちょっとした自信が与えられさえすれば。
それだけだ。
そう考えれば、ライフハック系の記事が一般に薄い理由もなんとなくわかってくる。
彼らは斬新な仮説や、正しい情報や、密度の濃い情報が知りたいんじゃない。
誰もが知っているけど、それをあえて文章にして、正解と示してくれる記事、自分の生き方を肯定してくれる記事が読みたいだけなんだ。
私はうっすいライフハックについてあまり肯定的じゃなくて、他人から渡される解答なんてクソ食らえじゃ!!派の人間だから読まない。だから今はそれを信じ込みたい人の気持ちはよくわからないし、たぶん話も合わないだろう。
私が強くて彼らは弱い、なんてことを言っているのでは、決してないよ。
誰だって弱くなるときがある。私だって相当落ち込めばそういう記事に出会って元気をもらうだろう。
それ自体は別に悪いことではない。ふさぎ込んで病んでしまうよりははるかにね。
ただね、ただ。
私はブロックしますけども。
検索で薄い記事が出てほしくないなら、拡張機能の
Personal Blocklist (by Google) - Chrome Web Store
Personal Blocklistを使ってみましょう。ワンクリックするだけで、検索結果に二度とそのサイトが現れなくなるよ!
拡張機能をオンにしたあと、検索結果のところに移動してみよう。
〇〇〇〇.jpをブロック をクリックすれば、そのサイトは二度と検索に引っかからなくなる。
すでにNAVERまとめもブロック済みじゃ。
結論
そろそろ結論を出そう。
生き方ライフハックというのは実用のために存在してるんじゃない、生き方が良く分からなくなった人が、模範解答として読みにくるためにあるんだ。
それは全然悪いことではない。だから結果として、うっすいうすい生き方ライフハックの記事も、別に存在していていい。それで日本の誰かが救われるのなら、むしろ良いことじゃないか。
ただブロックしたい人は、Personal Blocklistが圧倒的にオススメだよ!
あ、いつの間にか自分の記事がライフハックみたいになった。