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ちしきよく。

雑多系ブログ。みなさんの「何かを知りたい!」という欲を叶えましょう。

水素水は本当に悪者なのか?



あとで読む

水素水には効果なーし! でも、本当にそうなの?

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news.livedoor.com

なんというか、……ようやくですね。ようやく。

そういうわけで今回は、このエセ科学のカラクリを暴いていこうと思います。

あらま、結論が出ちゃった。でも早とちりは禁止ですよ、ちゃんと最後まで読んでくださいね。

 

 

水素水とは?

どうやら、

www.skincare-univ.com

スキンケア大学というちょっと怪しいサイトによれば、水の中に水素が溶け込んだ水のことを水素水(学術的には水素豊富水)と呼ぶようです。それだけ。

つまり、二酸化炭素が水に溶け込んだとき、それを炭酸水と呼ぶのと同じで、水素水も水素が溶けていれば水素水と呼んでよいことになってます。

しかしここには基準があります。ズバリ、水素の濃度についての最低基準。

最低でも、水素が水に0.08ppm溶け込んだ水のことを水素水と呼ぼう。

 

ちなみにppm(ピー・ピー・エム)とは

parts per millionの略であり、訳すれば「100万分あたりの濃度」

難しく考える必要はありません。5%の食塩水というのが「水95に塩が5とけた水」(ここでの95や5は単位がないのに注意。割合の話です)を指すように

8ppmの水素水とは「水999992に水素8が溶けた水」を指すというだけの話です。

今回は0.08ppmなので「水999999.992に水素0.08が溶けた水」ですね。

 

薄っす。

 

「分子状水素医学シンポジウム」ではそう定められたそうですよ。

うさんくさくて気になるので、とりあえず調べてみると

http://www.medi-h2.com/special/?id=22458

「一般社団法人日本分子状水素医学生物学会」

というサイトがヒット。で、このサイトの「水素水・水素水関連商品」のところに、

分子状水素を含む水を水素水という。水素水の濃度について、動物モデルに対しては、飽和の5%[80μg/L(0.08ppm)]、10%[160μg/L(0.16ppm)]でも効果を示す時があることが示されているが、人に対する研究では過飽和または飽和に近い濃度の水素水が主に用いられている。

 と書いてあります。なるほどね。つまり、飽和水溶液の5%が最低基準になっているわけか。

どうして水素なのか

なんでよりによって酸素じゃなくて水素なのか?人間の体に水素は必要なのか?という点ですが、この話を説明するためにはとある専門用語の解説が必要です。ずばり

「活性酸素」(かっせいさんそ)。

Wikipediaによれば、

活性酸素(かっせいさんそ、英: Reactive Oxygen Species、ROS)は、大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称である

とありますが、案の定わかりづらいので解説。

 

酸素は反応性が高い元素です。人間というか、生物の体の中で行われる反応にはだいたい酸素が使われてます(だから生物は酸素がないと生きられません)し、自然界にある鉱物もだいたいは酸化物。例えばガラス。二酸化ケイ素といって、ケイ素(Si)に酸素が二つくっついてできています。ルビーやサファイアでよく知られる酸化アルミニウムもやはりそうです。

 

 

2016年12月19日21:15追記:id:brobroskiさんからご指摘をいただきました。厳密に言えば……というか普通に説明が間違ってるんですが、二酸化ケイ素は「ケイ素に酸素が2個くっついてできている分子」というようなものではありません。

つまり水のように、1分子あたり酸素原子1個水素原子2個とカウントできるようなものではないということです。

有結合という強固な結合によって、いくつもの二酸化ケイ素が無数に連なってできています。このとき、1つのケイ素に4つの酸素原子がくっついている形になってます。

一つの分子ずつに分けたりはできません。だから、分子式というより組成式と言ったほうが正しいかな。

こっちの説明のほうが正しいですね。ありがとうございます。

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↑こんな感じ。他にも結晶の形はありますが、これを一単位として二酸化ケイ素が縦横に無数に連なっています。

という話は、意味がわからない人はとりあえず放っておいてよいです。後々ちゃんと説明します。今はとりあえず、「二酸化ケイ素」ってのがあって、ケイ素と酸素が1:2の比で連なる結晶なんだな、ということをわかってもらえれば。

で、一応これも付け加え。

ガラスがちゃんとした結晶じゃなくてアモルファス(非晶質)だということも説明しなければならないのですが、話の本質というか本筋から逸れてしまうので、省略しときます。いずれ説明はしますが、興味がある方は自分で調べてみてください。

 

 

水も元はと言えば水素に酸素がくっついたもの。

 

どうして酸素の反応性がそんなに高いのか。

それは、酸素原子自体がとても不安定な構造をしているからです。

詳しい原理は後日、図を使ってじっくり説明しますが、酸素原子はそのまま原子でいられません。だからとなりにいる酸素原子とペアを組んで、酸素分子になろうとします。人間も原子も、安定を求めるんですね。

酸素が原子ではなく分子で空気中に存在しているのはそういう理由です。

しかし、それでもまだ不安定なのです。だから、一旦そのペアを解消して、他の原子とペアを組もうとします。それが活性酸素くん。

生物が酸素を使って反応を起こすと、その過程で活性酸素が生まれます。これは逃れることができません。生きていれば必ず生まれてしまいます。

そして、活性酸素は先ほど述べたように「ところかまわず反応しようとする」ため、その反応の過程において細胞を傷つけてしまいます。正常な細胞だろうがお構いなしです。

吸い込まれて使われる酸素のうち、およそ2パーセントほどが活性酸素になると言われています。

そして驚きなのは、活性酸素が様々な病気の原因になるとか、老化と死をつかさどっているだとか言われていることです。追跡調査は難しいですが、老衰で死んだと思われる「スポーツ選手」の寿命の長さを測り、平均とってみてそれが一般人の平均寿命より短ければ『活性酸素が体に害である』と言える……のでしょうかね。

これを一般に「酸化」と呼びます。雨風にさらされた鉄がさびてしまうのと同じように、細胞も(比喩的な意味で)さびてしまうのです。

情報源はわかりませんが、全ての病気のうち9割は活性酸素のせいで引き起こされているとも。例えばガン。ガンはもともと正常だった細胞のDNAが何らかによって傷つけられ、壊れたままの異常細胞を増殖させ続ける病気ですね。この「何らか」というのが、いわば活性酸素だと。私は医者ではないので真相はわかりませんが、

https://scholar.google.co.jp/scholar?q=%E3%82%AC%E3%83%B3+%E6%B4%BB%E6%80%A7%E9%85%B8%E7%B4%A0&hl=ja&as_sdt=0&as_vis=1&oi=scholart&sa=X&ved=0ahUKEwiN5Objzf_QAhVFWLwKHVyKA60QgQMIGDAA

「ガン 活性酸素」で調べた結果、確かに細胞のDNA損傷が活性酸素によって引き起こされているという旨の論文をいっぱい見つけることができました。

これを食い止めるためには、抗酸化作用のある食べ物をとる必要があります。つまり、酸化を食い止め、細胞のDNAがこれ以上傷つけられずに済むような「身代わり人形」を取り込むのですね。お茶に含まれるカテキン、ブドウの皮やコーヒーに含まれるポリフェノールがこれらに該当します。あとは、ビタミンCもか。

つまり、体が消去しきれなかった活性酸素を、食べ物の力で除去してあげよう、というわけです。

 

ここに登場するのが水素水

分子状の水素には、活性酸素を除去するチカラがあるのだそうです。だから水素じゃなきゃ駄目なんですね。

これは本当のことです。論文がいっぱい出てますから、自分で調べてみてください。例えば1975年にDoleらが行った実験によれば、

Hairless albino mice with squamous cell carcinoma were exposed to a mixture of 2.5 percent oxygen and 97.5 percent hydrogen at a total pressure of 8 atmospheres for periods up to 2 weeks in order to see if a free radical decay catalyzer, such as hydrogen, would cause a regression of the skin tumors. Marked aggression of the tumors was found, leading to the possibility that hyperbaric hydrogen therapy might also prove to be of significance in the treatment of other types of cancer.

扁平上皮癌を患ったアルビノ(メラニンが欠乏する遺伝子疾患)で毛のないネズミたちを97.5%酸素と2.5%水素の混合気体/8気圧下で2週間飼育したところ、癌細胞が退縮したことから、他の癌の治療としても「高圧水素ガス治療法」が有効であると結論づけられました。これは水素を用いた世界初のガン治療の例です。

http://www.toho-u.ac.jp/press/2008/j5mt8h000000o76z-att/no14.syousai.pdf

では、2008年、東邦大学が行った研究で、(抗酸化物質である)ビタミンCを生成できないようにされたマウスに高濃度の水素水を与えたところ、活性酸素がちゃんと減っていることがわかった、という旨のことが書かれています。Biochemical and Biophysical Research Communicationsはオランダの論文です。

水素水にまつわる研究は他にも行われています。九州大学が2009年に行った実験によると、パーキンソン病などの脳神経変性疾患に水素水が効くことがわかりました。脳神経変性疾患を持つマウスに高濃度の水素水を与えたところ、疾患の予防や治療に効果があったそうです。

https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/soumu-pdf/press24/press-0920-4.pdf

歯周病を発症させたラットに水素水を投与したところ、その進行抑制効果が示されました。岡山大学の研究。

https://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2014/osa3qr000000dtae-att/141106_1.pdf

慶応義塾大学。ラットやイヌを用いて、水素ガスを吸わせながら詰まった血管を広げると、脳梗塞や心筋梗塞が軽症化したそうです。

 

このほかにも、分子状の水素(水素ガス、水素水)を用いた実験の効果が示されており、これらは学術的です。

しかも、水素はこの活性酸素……ヒドロキシラジカルだけを特異的に除去する、という研究結果も出ています。つまりですよ、つまり。

水素水自体が悪いわけではない!ということです。

ニセ科学の批判として、まるで水素水全部が効果なし!!みたいな論調になっている文章をよく見ますが、そういうわけではないみたい。むしろ、体にいいとか、病気が軽くなるという結果のほうが多い。

 

 

まあこれだけではプラスの面しか言っていないので、日本(世界か?)をにぎわす水素水問題、一体何が駄目なのか、何が良いのか次回語ることにします。文字数がもう多くなりすぎるので。

 

2016年12月20日19:33追記:次回作投稿しました。これで完結です。

 

www.chishikiyoku.com