ちしきよく。

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コンビニの「あっ袋いりません」の「あっ」って



あとで読む

コンビニに行っておにぎりとペットボトルの茶をチョイス。

おにぎりは温めてもらう。

 

別々の袋に詰めようとする店員。

 

「あっ、袋いりません」

……そういえば、いつも「あっ」って言っちゃうけど、これってどういう意味があるんだろう。自分でも意識しないけど、何か儀礼的なものなのか、それともただ驚いただけ?一体どうなってるんだ。

お金を払ってお釣りをもらう。これは一考の価値あり。

店を出る。

 

「お客様、商品忘れてますよ」

 

というようなマヌケエピソードがあったので、ちょっと考えてみよう。

今日の議題はズバリ、店で突如口にしてしまう「あっ」は一体何なのか、という問題だ。

 

「会話の波長」とは

そこで今回私が取り出すのはこの用語。会話の波長。

波長ってのは物理の用語で、波の長さのこと。

 

あの人とは波長が合わないなあ~なんて使い方をするけど、それと同じ。

 

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こっちは「波長が合ってる」。

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こっちは「波長が合ってない」。

 

会話においての波長ってのは、どうも「調子」とか「相性」と言い換えられるみたいなんだけど、「あっ袋いりません」について言えば、どうだろう……。

さすがに客と店員で接しただけ(=お互いのことをなんにも知らない状態)で、相性ってのがわかるんだろうか。

 

 

じゃあ結局私がなぜこの用語をあげたのか、というと。

「あっ」を多用する場合ってのは2種類あって、そのうち一種類は「コイツとはなんか調子合わねえな~」という場合。

それをなんとか振り切ろうとして「あっ」が自然に出てくる(と、私が個人的に感じた)からだ。

例えば、ニガテな上司や先輩や先生に対して。

 

あっ、……この前の件ですがどうなりましたか」

なんて尋ねたことは、誰にでもあるのではないかと思う。

だから、まずこっちのほうを分析して、それをもう一つの種類……「店員のような初対面の人に話しかける場合」に活かしてみよう、と考えたのだ。

 

会話の波長はどこに生ずるか

それで、みんながなんとなく思ってるであろう問いをまずコトバにしてみる。

「会話の波長ってのは、どこにあるわけ??」

と。

 

私の考えでしかないが、それはたぶん「話し方のタイプ」によるのではないかなと思う。まず人間を4つのタイプに分けてみる。

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すごく当然の話だが、「一方がしゃべってれば、もう片方は黙ってる」という状態が続くのが会話ということだ。どちらも黙ってたり、どちらも喋ったままでは、とても会話とは呼べない。

 

……というのを頭ではわかっていても、やはり「聞くほうが得意だわ」とか、「オレ、話すほうが好きかも」というように、人それぞれタイプが出てくる。

 

 

が、このタイプというのがたぶんすごく厄介で、何かというと、会話の波長を決めてしまう要因になりやすい(と思う)。ぶっちゃけ学術的な根拠もないです。

 

日常生活で、「あのお喋りな〇〇さんと、無口な▽▽さんがいつも一緒にいるのって変だなぁ」という例はないだろうか。その場合、彼らは私のわけたタイプでいう「話し型」「聞き型」に当てはまってるんじゃないかな。

〇〇さんはいっぱい話せてストレス発散、▽▽さんは面白い話が聞ける、と、お互いに利益をもたらしあう関係になっている。だから離れにくいんじゃないかと。

理想的には、しゃべりも聴きも両方できる両立型が2人いることだが、そんなのは非常に稀で、たいていは皆どちらかに偏っている。

 

これが、「話し型」二人とか「聞き型」二人とか「苦手型」二人だと、会話の波長があまり合わなくなって、先ほどの「あっ」が自然と出てしまうのではないか。自分と相手の領域によって、会話の弾み方が違ってくる。これは経験上割と自明だと思う。

 

さらに輪をかけて厄介なのは、自分と相手がずーっと同じタイプに属してるとは限らないということ。

「サッカーのことならずっと喋ってられる」Aくんは、同じく「サッカーのことならずっと聞いてられる」Bくんとは波長が合うだろうが、「落語のことならずっと聞いてられる」Cさんとは波長が合わないだろう。結果的に、AくんもCさんもその場では「会話苦手型」に属してしまう、というように。

趣味、年齢、役職などで、その人がどこに属するかは刻一刻変わっていくのだ。だから「この人とは話が合うが、あいつとは合わないな」とか、「前は波長が合ってたけど、今は合わないな」となりがちなのだろう。

 

もう一つの例―初対面―との矛盾

でも、初対面の場合というのは、相手と自分の領域がわからないから、そういう遠慮なんてのも生まれないはずで、矛盾している。

確かに私も、「うわーこいつ、金髪にピアスまでしててなんかチャラいぞ」というタイプの店員にはちょっと話しかけづらいが、そういう限定的な話はしていない。

あぁ活かせなかったか。……まあいずれ役立ちそうだからとっとくか。

 

私はもっと万能に使える「あっ」論が欲しいのだ。

 

……考え方を変えねば、と思っていた矢先だった。

 

ついにこの答えのようなものを見つけてしまった。

 

言語の回路 

何の変哲もないスーパー。普通のスーパー。

そこにやってきたのがとある白人男性。

背と鼻が高くてすらっとしてる。かなりイケメン。

 

「歯ブラシありますか」

私の耳には確かにそう聞こえたが、店員の人はかなり長い時間黙っていた。

しばらくしてようやく束縛が解け、「すみません、もう一度」と人差し指を上に立てた。

「すみません」

店員さんは口を開けたまま、「はい」とだけ答える。

「歯ブラシはありますか」

今度はかなり強調した感じで言う。

「あぁ~!歯ブラシですね、すみません、今案内しますので!」

 

……という話。

おそらくだが、店員が黙り込んでしまった理由はここにある。

「白人=英語で、英語で話しかけられると思っていたから」だろう。

日本ではまだまだ単一民族国家に単一言語が対応していて、それは日本では日本語に他ならない……と思う人が多い。要するに、イカニモな外人さんを見れば、それはもう普通の人にとっては「英語で話しかけられる!」なのだ。

であれば、店員さんは恐らく短い英語教育の中で使えそうな文章をあれやこれやと引っ張り出そうとしているうちに話しかけられ、それが日本語であるとも気づかないぐらいにはパニック気味だったのだろう。

 

その後、「すみません」という日本語のコードを出され、日本語で話しかけられているとようやく理解。回路が日本語に戻った。

 

(※店員さんの感情はすべて私の思いこみなので、これが正しいという条件でこれからの話は進みます)

 

これで答えはわかってしまった。

解説に移ろう。

 

相手の思考モードを切り替えさせるチャンス=あっ

店員はともかく、客も客として暗黙のマニュアルに従って行動する。

 

おにぎりと水だけ買うなら箸はつけない!とか、ガムだけ買うならワサビはもらわない!とか。そういう『常識』とでもいうべきマニュアルがあって、知らず知らずのうちに行動しているのだ。客であるこっちも。

両者がマニュアルを満たす限り、業務は円滑に進むし、それが大半だろう。

 

しかし、「店員はおにぎりと茶を別々の袋に入れて渡す」という行為がマニュアルそのものであるのに対し、「同じ袋でいいです」と客が宣言することは、ある意味マニュアルを破くのに等しい。軽く言えば、暗黙の取り決めから脱するということ。

 

 だから、それをいきなり言ってしまうと、店員も困惑してしまうだろう。

そうならないように、「あっ」というワンクッションを置いて、

今から私は暗黙をぶち壊しますよ~というアピールをするのだ!

 

これはさっきの白人男性の例と等しい。

 

 

店員さんは「マニュアルモード」で動いており「外国人ならば英語で話すだろう」と考えていた。それは言語化されない、いわば暗黙の了解だ。

しかし彼は英語じゃなくて日本語で話しかけてきた。(これは客側がいきなり「袋一緒で!」と叫ぶのと同じ)

ところが店員さんはまだ「マニュアルモード」で行動していて、彼の日本語に対応できなかった。たぶん英語を喋っているように思われたのだろう。

そこで男性が「すみません」というワンクッション……『私は外国人だけど、日本語が話せますよ』と意思表明(暗黙をぶち壊すよ~と宣言)したので、ようやく対応できた、というわけだ。

 

日常会話においても同じことが言える。

自分の家の話をしていたのに、急に話題がカレーに飛べば、「その会話におけるマニュアル」が破かれ、何の話をしているのかわからなくなるだろう。であるからやはり暗黙をぶち壊すためのことばが欲しい。

ここでは「ところでメッチャ話変わるけどさ、」がワンクッションにあたる。

 

 

そう考えると、コンビニで交わされる「あっ」にも、こんな意味が見出せるのだな~とちょっと感動……しないですかそうですか。

 

 

ん、んんん?ちょっと待てよ。

会話のタイプが違うときに使われる「あっ」も、これと同じじゃないか?

 

会話が弾まないのでお互いに気まずくなっている。

「相手に話しかけないこと」が暗黙の了解になっている。それをすぐ壊すと相手が戸惑いそうなので、「今から自分は話しますよ~」というアピールをする。

 

そのための「あっ」か!「あっ、」なるほど!

(二個目のあっは用法が違うが……)

 

 

……という話でした。おしまい。

ここまで4000字を読んでくださった方は既に「あっ」マスターなので、明日から友人に連呼してみましょう!バールのようなもので殴られると思いますが。

 

それでは。