ちしきよく。

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酸性雨とアルカリ性食品のウソホント



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ではまず前回のおさらいを。

 

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  • 水溶液には液性がある。酸性、(中性、)アルカリ性。
  • 一般的に、酸性は酸っぱく、アルカリ性は苦い。
  • 液性には強さがあり、pH(ピーエイチ)によって比較される。
  • 酸性とアルカリ性は互いに打ち消し合う。これを中和という。

コンニャクはどうしてアルカリ性?

アルカリ性という性質が使われているものには……例えばこんにゃくの作り方があります。こんにゃくはコンニャクイモというイモから作られます。

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(コンニャクイモ。ちょっと不気味ですね……)

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このイモが曲者で、シュウ酸という物質が含まれています。シュウ酸はほとんど電離しない(水素イオンを出さない)ため、同じ濃度の塩酸などに比べればpHは大きいです。

そのせいで、コンニャクイモはえぐみが強く、少しかじっただけで口の中がピリピリします。正直言ってとても食べられたものではありません。煮ても焼いても食えぬとはまさにこのこと。野生動物にさえ、食べ物とは認識されてません。

どうしたかというと、

先人はそこに木の灰を混ぜて煮たのです。木の灰はアルカリ性、シュウ酸は酸性です。

すなわち……

両者は中和します。

ここで不思議なのは、化学という概念が一切なかったのに、どういう過程で木の灰を混ぜようなどと思ったのか?ということです。

たぶんです、私の仮説というか思い込みが存分に入ってますが、偶然で生まれたんじゃないか?と。よく洗ってない、灰が付いたままの鍋でコンニャクイモを煮ていたところ、いつもと違っておいしく感じた。で、何回も試したところやっぱりおいしい。ってか、灰入れないとおいしくない。

そういうわけでコンニャクイモを煮るとき、木の灰を混ぜるようになった。こうしてコンニャクイモは無事栽培され、人々に食べられるようになった、と。

相当飢えてたんでしょうねー。

そういう偶察力(セレンディピティ)には本当に尊敬させられます。この発見がなければ、おでんの具は一つ減ってただろうし、辛子味噌で刺身こんにゃくを食べることもなかっただろう……そう思うと先人にやっぱり感謝です。

しかし現在は木の灰ではなく、水酸化カルシウムという物質を中和に用いています。

水酸化カルシウムは

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こういう粉状の物質です。たぶんこう聞くと身に覚えがない気がしますが……

石灰水

というものを覚えていますでしょうか?二酸化炭素を検出するときに使ったアレです。

二酸化炭素を入れると白くなるアレです。

つまり水酸化カルシウムは石灰です。

校庭に引く白いやつも石灰です。身近ですねー。

水酸化カルシウムは強いアルカリ性を示します。

原理うんぬんはとりあえず抜きにして、シュウ酸のような弱い酸と水酸化カルシウムのような強いアルカリが中和すると、中和したにもかかわらずpHはアルカリ性寄り(7より大きいほう)になります。

そういうわけで、こんにゃくはアルカリ性食品にカウントされます。

果物(メロン、グレープフルーツなど)や野菜(ほうれん草、サツマイモなど)、キノコ類、大豆はアルカリ性食品です。逆に、肉、魚、卵などは酸性にカウントされます。

こういう液性はどうやって測るのでしょうか?ここにひっかけがあります。

梅干しは酸性食品か?

梅干しは酸性食品でしょうか?みんなこれを読んでこう考えてます。

は??酸っぱいから酸性に決まってんだろ

でも実は違うんです。確かに梅干しは酸っぱいし、pHをはかっても7より小さいのですが、食品分類ではアルカリ性食品に分類されています。

これは、酸性食品かアルカリ性食品かの分類の仕方によります。

食品が分解されることを「燃焼」といいます。梅干しを燃焼させると水と二酸化炭素、そして酸性のもとであるクエン酸と、ナトリウムやカリウムなどのミネラルが出てくるのです。これらはアルカリ性です。

すべての食品の性質は燃えカスが何性かで決まることになっているため、梅干しはアルカリ性食品にカウントされる、というわけです。ですので、梅干しが酸性食品だというのはウソ

実はさっきの説明も半分ウソです。

コンニャクがアルカリ性だというのは本当ですが、pHがアルカリ性だからアルカリ性食品だというわけではありません。騙されないようにしましょう。

酸性食品ばかり食べると血液が酸性に傾いて健康が害されるというのはウソだと言われてます。人間の血液は絶妙なバランスで調整されており、pHは常に同じくらい(7.45前後)に保たれているため、食品の違いによって血液の液性が傾くことはない……と今はされています。緩衝液でググるとわかるかと思います。いずれ説明します。

しかし、尿の液性が酸性に傾いて、痛風になりやすいというのは本当らしいので、アルカリ性食品もバランスよく食べるようにしましょう。実際、痛風は昔からぜいたく病といわれており、一人暮らしの男性に多いようです。食生活が肉中心に偏りがちで、魚の卵やら肉やらをつまみにビールを飲んだりするためでしょうか。コーヒーがいいみたいですね。

酸性雨のウソホント

一時期、雨が酸性になったせいで、コンクリート、銅像が溶けてしまったり、身体に悪い影響が出ると言われたりする、という問題が提起されたことがありますね。そう、『酸性雨』の問題です。酸性雨についても、「酸性雨を浴びるとハゲる」「実は存在しなかった」とか「そもそも日本の雨の液性は数十年前から変わっていない」という論がまことしやかに展開されていたりします。

これらについて検証してみます。

工場のばい煙に含まれる二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)は、水に溶けることによって硫酸や硝酸になります。硫酸や硝酸は塩酸に並ぶほど強い酸性を持ちます。こんなものが雨として空から降ってくるのです。そのせいで、酸性雨問題が深刻なところでは、湖に降った雨のせいで、湖の水全体が酸性になり、魚たちが死んでしまうという問題が起きた……とか。

緻密なバランスが保たれている自然界では、この微妙な違いもとても大きな問題になりうるのです。そのときされた対策はずばり、『石灰をまく』というものでした。石灰はアルカリ性ですから、湖に散布することで、湖の液性を中和しようと考えたのです。また出た、中和。

酸性雨でハゲる?

まずハゲるという噂ですが、これはウソのようです。人間の肌は弱酸性に保たれています。これは雑菌を繁殖させないためであり、常に肌を清潔に保っておくための防御策です。

酸性雨とは言っても、硝酸硫酸塩酸のような強い雨が降ってくるわけではありません。せいぜい弱酸性……レモンや酢なんかよりよっぽど弱いのです。そうですね……

人肌と同じくらい、でしょうか。

ですから、肌と同じくらいの液性の酸性雨が降ってきても、頭がハゲることはないようです。もちろん、濡れたままにしておくと雑菌が繁殖してよくないので、乾かすようにはしたいですね。

酸性雨は起こってない?

酸性雨が実は起こっていないというのはウソです。これは教科書にも図説にも載ってますし、ちゃんとした統計がとれてます。

原因となる物質が放出されてから酸性雨として降ってくるまでに、国境を越えて数百から数千kmも運ばれることもあり、その動向を監視するために世界各国が協力して様々な観測・分析を行っています。世界気象機関(WMO)の推進する全球大気監視(GAW)計画の下で、ヨーロッパや北米を中心とする約200の観測点で降水の化学成分の測定が行われています。

(気象庁|酸性雨に関する基礎的な知識 より引用)

世界各国が金を出すレベルの問題であり、酸性雨によってやられてしまった写真もあるのにさすがにウソだとは言えないですね。

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(「pm2.5 酸性雨 影響」タグの記事一覧 | たその気になること より)

こういう写真もあるくらいなのですから、やはりウソだとは言えないでしょう。他にも調べればいくらでも写真が出てきます。

 

どうでしょうか。酸性とアルカリ性に知っておくだけでも、こういう風にいろんな情報を分析することができます。まさに勉強の面白いところだといえるでしょう。